栃尾のワインづくり
私たちは、この土地で葡萄と向き合い、
その年どしの栃尾の風土を楽しめる
ワインをお届けしていきます。
ワインづくりは農業
醸造酒は酵母(菌)の、糖分をアルコールに変える力を利用してつくる発酵食品。その中でもワインは、果汁だけでつくる単発酵と呼ばれるタイプのお酒です。日本酒やビールと比べて、発酵過程が原始的でとてもシンプル。醸造の過程で手を加えられる部分が少ないからこそ、原料の葡萄づくりが重要になります。 同じ葡萄品種でも、栽培地の特徴が味わいに出ること。 同じ畑でも、年どしの気候の特徴が味わいに出ること。 そして、自然の影響を受ける農作物として、ワインになってもその特徴を色濃く残すこと。 これが、葡萄という農作物からつくる、ワインというお酒の面白さだと感じています。
栃尾と葡萄
ワイン用葡萄の原産国の多くは、ヨーロッパが中心。そのため気候や環境は原産国のように、やせた土壌で水はけの良い土地、日照は多く、降水は少なく、昼夜の寒暖差が大きい場所が良いとされています。 そもそも梅雨もあり葡萄栽培にあまり向かないと言われる日本。中でも栃尾は、雪や水といった豊富な水資源に囲まれた地域。 稲作を中心とした、日本らしい農業にとっての好条件も、ワイン用葡萄にとっては、逆に厳しいと言える条件での栽培です。 ですが、ずっと葡萄と向き合ってきた経験から、今では、雪国新潟の栃尾でしかつくれない味わいの葡萄が育つと考えています。
葡萄と水の良い関係
冬の栃尾は、新潟特有の水分の多い重い雪が降ります。葡萄たちも高く降り積もった雪の下で、じっと春を待ちます。 夏は、山間地域の盆地特有の湿気との戦い。湿度の高い地域では、葡萄に発生するカビ系の病気は命取りになりかねません。 私たちは、まず葡萄の樹を雪の重さに負けず、梅雨時期の病気にも負けない「粘り強さのある樹」に育てることを大切にしています。幼木期の成長速度を見極め、栄養を過度に絞らず、しっかりと根を張らせること。 そして、春がきて新芽が出はじめたら、すぐに適切な管理体制を整え、病気に罹らせない「未病」を一番に考えた栽培を行うこと。 これが、この地域での栽培において必要な管理だと考えています。 この栽培方法を徹底し、ここ栃尾でも、質の高い葡萄が栽培できるようになりました。
雪と水から育まれた
やわらかで瑞々しい味わい
私たちの葡萄は、春先にたくさんの雪どけ水を吸い上げるためか、品種らしい味わいの他に、どの品種の葡萄も、やわらかな瑞々しさの中にしっかりとした旨みをもった味わいのワインがつくれることが特徴だと感じています。 雪や水は、ワイン用葡萄にとって嫌われる存在ですが、ワイン用葡萄ひとすじで栽培を続け、葡萄と水との良い関係を築いてきたことで、ここでしか出せない「栃尾らしい」と言える味わいが育っていると感じています。 ワインを通して、この栃尾の雪と水から育まれた、やわらかで瑞々しい味わいを、私たちと一緒に愉しんでいただきたいと思っています。